研究課題 概要


 

 本研究は、こけしを広い視野で捉え、歴史的調査・美術的検証、科学的分析の3つのアプローチによって、こけしの発祥や初期の実態を実証するものである。こけしを起点とした地域の独自性を見える化し、こけしがどのように発展していったのか、制作者間の繋がりを探りながら、当時の文化観を明らかにしていく。研究対象は、宮城県仙台市の郷土玩具や信仰人形との繋がりが深い遠刈田系こけし(産地:宮城県刈田郡蔵王町)である。こけし制作者や関係者へのヒアリング調査から、こけしが誕生した背景を探る。デジタルデータ化によるこけしの模様(描線・描彩)に関する調査を行い、美術的検証を試みる。また、加速器質量分析法によってこけしが創られた材料年代を科学的に分析する。複数の領域からこけしに迫ることによって、いまだ推測の域を出ないこけし研究を推進し、地域文化の矜恃を高めるものである。

 

【1】歴史的調査

遠刈田系こけし制作者や関係者にヒアリング調査を行うことで、これまでの歴史研究や民俗学研究では明らかにされなかった、こけしを起点とした、こけし誕生当時の宮城県の人々の生活文化の一端について明らかにしていく。

 

【2】美術的検証

可視光線と赤外線によるマルチアングル撮影と展開図の作成を行う。デジタルデータ化し、模様をより細密に観察する。そこから特徴を抽出し、美術的観点から検証する。

 

【3】科学的分析

 

放射性炭素年代分析による材料年代の科学的分析を行う。

研究 メンバー


研究代表者:鶴巻 史子(東北生活文化大学美術学部美術表現学科 教授)

研究分担者:鈴木 専 (東北生活文化大学美術学部美術表現学科 教授)

     :北折 整 (東北生活文化大学美術学部美術表現学科 教授)

     :加藤 理 (文教大学教育学部 教授)

研究協力者:高橋 五郎(仙臺こけし洞 こけし専門家)

     :佐藤 康広(仙台木地製作所 遠刈田系こけし工人)

 協力機関:三春町歴史民族資料館(藤井典子 主幹兼副館長)

     :原郷のこけし群 西田記念館(相原聡子 学芸員)

                  :仙臺こけし洞 (高橋五郎 こけし専門家)

     :山形大学高感度加速器質量分析センター(永井康雄教授  門叶冬樹教授)

研究支援者:佐藤雛乃(東北生活文化大学美術学部美術表現学科 副手)

     :鈴木美穂(東北生活文化大学美術学部美術表現学科 副手)

     :川角 由(東北生活文化大学美術学部美術表現学科 副手)

 

研究 期間


 

令和3年(2021年)4月1日 〜 令和6年(2024年)3月31日